職人さんのざるは3代使う

子供の頃

我が家には大小 浅いのも深いのも合わせてたくさんのざるがありました。

梅や紫蘇を干すには幼い子が一人以上入れるほどの大きく浅いもの 

キッチンには料理の素材を下ごしらえしたものを並べたり、蕎麦をもったり、

枝豆を山盛りにしたり

深めのものは蕎麦の湯を切ったり

いろいろ使っていた。

ステンレスが盛んに使われる様になっても、さわりが優しいし適度に通気もあるので活躍していた。

スーパーマーケットのショッピングバックがポピュラーになるまで、買い物かごも健在だった。


あれは夏だったのか?春だったのか?長い休みの昼過ぎだったかと思う。

玄関のベルが鳴り、背中の丸いおじいさんがいた。

いろんなサイズのざる、かごを紐で括って背負って。

昭和のその頃でも やはりなかなか手作りでいい値段だったと思う。初め「いらない」と思った様だった母。

話は上手ではなかったと思う。

手に取るうちに、これがしっかりしていて使い勝手も良さそうで。

浅いざるをいただいた。

それを ついこの間まで私が引き継ぎ使っていた。50年以上使ったと思う。もっと丁寧に直したりできたなら、もっと使えたかもしれない。周りから解けてしまった。


先日番組でフランスのバスケットを栗の木で作るのを観た。 目がそろい、一本一本しごいてそろえて作る様子。きっと長持ちするに違いない。

日本でも葡萄の蔓や竹で作る。

人の手で丹念に作ったものは本当に長持ちする。そして使い勝手もいい。

申し訳ないのですが、アジア製のザルは早くにダメになってしまったが、あのおじさんのざるは50年。

手に納得がいくものに出会うまで、我がキッチンには2代目のざるはないのだけれど。

料理をするたびに、こうして秋になるとなおさら。あのざるがあったらよかったのにと思うもの。


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おりょう OwndBar

洒落程の解る方々のBarでありたい。 何者? 海外生活を経て 日本の文化を改めてリスペクト 。 懐石 茶の湯 歴史 着物…と進めると 元々大好きだったワインとあわせた「今様手すさび」懐石料理屋を 営む。 シガーからタウニーポートにご縁。全てにハマればハマるほど芋づるで興味果てしなく。 同時にその時次世代の鬱の多さに 今は幼児教育と英語を絡めたビジネス。 ロードバイクLoverでもある